スマートコミュニティを燃料電池でバックアップ

この青い地球上での持続可能な社会を目指して、世界各地の企業・団体では今、さまざまな取り組みが始まっている。現代のゆたかで文化的な生活に欠かせない電源において、再生可能エネルギーの比率を高めていくこともその手段の一つである。

そして福島県相馬市では、情報通信技術(ICT)等を用いて地域(コミュニティ)全体のエネルギーマネジメントを行うとともに、交通システム、医療・介護サービス、行政サービスなどのしくみをスマート化する取り組みが始まっている。IHIが推進する「相馬市再生スマートコミュニティ構築事業」(平成29年新エネルギー導入促進協議会採択)は、同市内の工業団地、市役所など特定地域におけるエネルギーの地産地消、コスト低減、地域活性化を目的としている。

再生可能エネルギーによる地域エネルギーマネジメントシステムの構築をめざす上記事業において、豊田通商はきょう、非常用の電力供給設備として、同社が日本国内販売権を有するBALLARD燃料電池を納めたことを発表した。同設備は避難所付近に設置し、災害時などにおける電力の安定供給に貢献する。

太陽光発電の余剰電力で生成した水素を"貯蔵"し、非常時に電気を"つくる"役目を担う。直接水素型燃料電池を電源とするメリットは ①必要なときに発電し、その電気を近隣地域で使用可能、②送電ロスが極少で、エネルギー効率が高い、③分散型エネルギーは大規模停電に強いなどが挙げられるという。

相馬市のそれは非常用電源として国内最大級の25kWの出力規模を誇り、災害時に避難所の照明、携帯の充電器などへ電気を供給する。現在、各地域でその特徴に合せたスマートコミュニティの実証事業が行われていて、気象条件、時間帯、季節によって出力が変わる電源の再生可能エネルギーをいかに安定化させるかとの課題があり、豊田通商は今回と同様、多様な燃料電池ラインナップでこれらにも対応していく構えだ。