金融機関の基幹システムの運用自動化に関する共同検証

日本ユニシスと日立製作所(日立)は、システム運用において複雑かつ高度な判断が求められる非定型業務の自動化に向け、日本ユニシスが運用する金融機関の基幹システムの本番運用環境上で人工知能(AI)を活用した共同検証を2018年4月から開始した。

検証では、システムの警告メッセージが発生した際にオペレーターがエンジニアを呼び出すか否かを、OSS(オープンソースソフトウェア)をベースとした機械学習技術を用いて自動判断する検証を行うとともに、障害予兆検知の自動化に関する検証を合わせて実施する。

これに先立ち実施した事前検証では、3カ月分の運用データを利用し、ハードウェアやミドルウェアなどによって構成されるプラットフォーム層で検証した結果、エンジニアの呼び出し要否判断について、オペレーターの判断実績と同じ結果を出すことに成功した。

今回の本番環境での検証では、監視範囲をアプリケーション層まで広げ、より複雑な判断の自動化を検証する。障害予兆の検知から対処方法の提示までを自動化する検証も実施する。将来的に、本検証で得た成果は両社のサービスにそれぞれ適用し、幅広い分野での活用を目指す。

近年、様々な分野において、デジタル技術を活用した業務の自動化・効率化が期待されている。特に、システムの運用業務においては、24時間稼働するシステムや複雑化・大規模化するシステムが増えていることから、人手に頼った判断を自動化し、常時監視するオペレーターの作業負担や判断ミスの軽減、運用・保守に関するサービス品質向上へのニーズが高まっている。

こうした中、日本ユニシスでは、金融機関をはじめとした各種システムの運用業務効率化を目指し、定型業務の自動化に取り組んできた。また、より複雑な判断が求められる非定型業務の自動化においてはAI技術の活用を検討していた。一方、日立においても、システム運用自動化の実現に向けて、統合システム運用管理「JP1」とAIを組み合わせたさまざまな検証に取り組んできた。

このような背景のもと、今回、両社は「エンジニアの呼び出し要否判断の自動化」「障害予兆検知の自動化」の共同検証を開始する。このうち、エンジニアの呼び出し要否判断の自動化の事前検証として、過去3カ月分の実運用データを使い、プラットフォーム層に限定して検証した結果、自動判断の結果がオペレーターの判断実績と同じになることが確認できたという。今回の検証では、本番環境を利用し、監視対象をアプリケーション層まで広げる計画。