AR技術を活用した船舶部品の管理システムを運用開始

福岡造船は、富士通、富士通マーケティングとAR技術を活用した船舶部品の管理システムを共同で開発して運用を開始した。国土交通省が推進する、IoT技術や人工知能を活用し、造船の生産性向上のための技術開発支援を目的とする海事生産性革命(i-Shipping)の一環として行われる。

福岡造船では、年間約8隻の化学薬品タンカーを建造し、1隻当たり約1万5千点におよぶ配管部品の組み立てを行っている。

日々、複数の外注業者から数多くの部品が届けられ、現場作業員は大量の紙の設計図面を見ながら、広大な資材置き場に置かれた部品を見つけている。そのため、図面との照らし合わせの負担や部品の選択ミス、置き場不明による混乱など、現場での作業工程における効率化が課題となっていた。

このような課題に対し、国土交通省が推進する海事生産性革命(i-Shipping)にて、「ARマーカーを用いた船舶部品情報の活用技術の開発」をテーマとした福岡造船の提案が採択され、富士通のAR技術により現場業務を支援するシステム「FUJITSU Manufacturing Industry Solution PLEMIA Maintenance Viewer(プレミア メンテナンスビューワ)」を活用し、共同で船舶部品の管理システムを開発した。

現場作業員は、1万5千点におよぶ配管部品に貼り付けられたARマーカーをタブレットで読み取ることで、部品の種類や取り付け位置、部品ごとの図面などの情報を入手できる。また、配管の納品業者が入力した製造状況や納品状況も把握でき、資材置き場の部品在庫の有無がすぐに確認可能。さらに、ARマーカーを読み取った際に、設計変更についての注意点を表示できるため、設計変更の対象となった部品を取り付けしてしまうミスなどの後戻り工事を削減できると期待されている。

配管取り付けの作業実績を、ARマーカーを読み取って表示される画面に入力することで、現場管理者は作業状況をリアルタイムに把握でき、空いた組み立て場所の有効活用や、現場作業員の最適配置を可能にする。