IoT、LoRaで河川の水位計測はじまる

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」において、省電力で広域をカバーできる無線通信方式「LPWA」は、特に産業施設および社会インフラ分野において重要である。Bluetoothよりも長距離の通信ができるゆえに、その派生技術も含めて、様々な仕組みで活用され始めている。

LPWAはそれを使用する際の免許の要・不要によって2つに分けられ、不要なもののひとつに、LoRa Alliance提供のオープンな通信規格LoRaWANが挙げられる。通信事業ではない一般企業や自治体がIoTに取り組むとき、無線従事者免許や無線局免許を求められれば、それだけで当初描いた「あらゆるモノをつないで情報を活かす」絵は色あせてしまう。

きょう、北海道石狩市は、同市域におけるIoT、AI(人工知能)、ビッグデータなどの情報技術の利活用による市民サービスの向上、教育分野におけるICT(情報通信技術)支援、および行政事務の効率化などを目指し、さくらインターネットと来月6日付けで包括連携協定を締結。その取り組みの一つとして、LoRaを活用した河川水位計測システムの試行運用を開始すると発表した。

昨年大雨災害が発生した石狩市浜益区にて、河川水位情報を随時確認するためにLoRaの基地局を6台、6カ所の橋に水位計測センサーを設置し、水位情報の測定・蓄積を行う。システムのデータ通信にはさくらのIoTプラットフォーム「sakura.io」を利用。測定された水位情報は、石狩市役所内で市役所職員が閲覧・集計できるという。

両者はこのシステムの有用性――避難所開設等の状況判断に役立ち、パトロール困難地域へ行かずとも水位情報の把握と円滑な共有が可能――が確認されたのち、本格運用への切り替え、センサーの増設や他地域への拡大、および蓄積したデータのオープンデータ化を目指し、他の分野におけるITを活用したまちづくりを協力して推進していく考えだ。