日立製作所は、IoT(モノのインターネット)技術を活用し、建設現場の生産性や安全性の向上を実現するシステムを開発した。複数の建設現場において現場実証を行い、システムの商用化を目指していく。
近年、デジタライゼーションの進展により、あらゆる分野においてIoTやデジタル技術の活用が進んでいる。一方、労働人口の減少が進む中、日本の建設業界においては、建設現場における生産性の向上や労働時間削減、週休二日の推進といった働き方改革の実現に向けた動きが活発になっている。
このような中、日立は新たに、専用端末を用いることで作業者や建設機材の状況を把握し、建設現場の生産性・安全性の向上を実現するシステムを開発した。
このシステムは、日立が独自に開発した専用端末とクリーンビーコン、GPSを用いて屋内・屋外問わずシームレスに作業者や建設機材の位置情報をリアルタイムに把握することで、作業員の余剰・不足の検知や人員の適正配置を可能にし、生産性の向上に貢献するというもの。また、端末に内蔵した3軸加速度センサーや気圧センサーにより、転倒などの危険動作や、熱中症環境・立入禁止区域などへの進入を迅速に察知し、安全性の向上が図れるという。
専用端末を用いることで、携帯電話などのスマートデバイスの導入が不要となり、低コストでの導入が可能。また、作業員や建設機材の位置情報の把握に、屋内の建設現場ではビーコンを、屋外の建設現場ではGPSを活用することで、携帯電話の電波状況に左右されることなく屋内外を問わないシームレスかつリアルタイムな位置情報の把握を可能にした。
また、通信には920MHz帯通信を使用することで、電波障害に強い通信機能を提供。使用者による端末操作が必要ないため、作業現場における安全確保にも寄与する。危険行動を察知した場合に警報を発することで、迅速な対応が可能となる。