和歌山県ら、5Gを活用した遠隔診療の実証試験を実施

NECは、NTTドコモと和歌山県と和歌山県立医科大学が実施した5Gを活用した遠隔診療の実証試験に、5G向け基地局システムを提供したことを発表した。試験は、総務省の5G総合実証試験の一環として実施された。

試験では、5Gによる大容量伝送により、和歌山県立医科大学地域医療支援センターと国保川上診療所の間で4Kテレビ会議システムによるリアルタイムでのコミュニケーション、4K接写カメラで撮影した患部画像、高精細なエコー動画やMRI画像の共有を図った。

和歌山県立医科大学および同付属病院からは、皮膚科、循環器内科、整形外科などの医師が試験に参加したが、高精細大画面モニタを通して皮膚の質感が伝わりやすくなり、また問診時のリアクションや表情に臨場感が増すことで、その場にいるような感覚でのコミュニケーションが可能となり、診療の進行をサポートし、医療従事者や患者の負担の軽減を実証することができたという。

和歌山県立医科大学と直線距離で約30km離れた日高川町の国保川上診療所を5Gおよび光ケーブルで接続し、5Gを活用した遠隔診療サービスの実現に向けて検証した。このうちNECは、28GHz帯対応の超多素子AAS(Active Antenna System)基地局システムを設置し、5Gの無線ネットワークを構築した。

NECの超多素子AAS基地局システムは、ビーム形成の精度向上を実現するフルデジタル制御方式を採用。フルデジタル制御により、超多素子AAS1台から同時に複数方向にビームを形成し、空間多重により隣接したユーザーと干渉することなく、高速・大容量通信を高効率に実現するという。

NECは今後も、ネットワークの高速・大容量化と超大量接続を実現する超多素子AAS基地局システムの開発を進め、5G技術の実用化を目指す。今回の遠隔診療のように5Gを活用した新たなサービスやビジネスの創出を目指し、通信事業者やパートナーとの共創にも取り組んでいく。