銀行の勘定系システム、パブリッククラウドにて動き始める

信頼、安定、機密。さまざまな組織の経営を支えるIT(情報技術)システムのなかでも最も保守的であり、慎重のうえに安全を重ねて構築運用されるのは、金融機関の勘定系システム。大競争時代のいま、ここに変化の兆しがある。

デジタルトランスフォーメーションの進展を受けて、金融機関は、法人および市民ニーズの変化へよりスピーディに対応し、革新的なサービス、新しいバリューを生み出すことを迫られている。勘定系システムに代表されるSoR(記録用システム)から、顧客フロントのSoE(絆づくり用システム)やSoI(洞察用システム)といった収益創出領域に投資が振り向けられ、変革の「足かせ」にならない構造のシステムが強く求められているという。

日本ユニシスと日本マイクロソフトは、オープン勘定系システム「BankVision®」の稼働基盤として、パブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の採用に向けた共同プロジェクトを4月から始める。フルバンキングシステムのパブリッククラウド環境での実装は国内初の事例となる。

およそ11年前に世界初のWindows Server®、SQL Server®を基盤とした勘定系システムを稼働させて以来、地方銀行10行の経営戦略のスピーディな実行、店舗・チャネル戦略や事務集中化へのフレキシブルな対応、TCO削減などに寄与してきたという。日本ユニシスは、'16年度から日本MSとともにAzure(IaaS)上での同システムの検証を進めてきた。そしてMS米国本社Azureエンジニアリング部門との連携や、国内データセンター利用体制等が整ったことにより、今般このプロジェクトの開始に至った。

BankVision on Azureは、「オープンAPI公開基盤との連携」、「新サービスの創出」、「コスト変動型サービスの実現」、「柔軟なリソース調達」といった利益をもたらすという。