熊本大学とボルドー大学でMRI撮像へのディープラーニング適応の研究を開始

キヤノンメディカルシステムズは、人工知能(AI)技術の一つであるディープラーニングのMRI撮像への適応、Deep Learning Reconstruction(以下、DLR)に関して、2018年3月から熊本大学、仏ボルドー大学との共同研究を開始する。

DLRは、ディープラーニングを用いてノイズの多い画像からノイズを除去するノイズ除去再構成技術であり、ノイズの多い画像とノイズの少ない画像との関係性をコンピュータで解析・モデル化させることで、新たに得られた画像のノイズを除去する。

単に画像を高分解能で撮像できるだけでなく、従来検査では困難であった超高分解能撮像を短時間で実施できるため、超高分解能撮像の臨床検査への適応とその有用性に関して、高い注目が集まっている。

また一般的な平滑化フィルターと比べると、ノイズ除去に伴う画像の劣化が極めて小さく、実質の信号自体の変動が少ないという特性により、単なる画質改善効果だけでなく、ノイズの影響を受けやすい定量解析の安定性を向上できる可能性もある。今後のMRI検査の概念を大きく変える技術として期待されている。

今回の共同研究について、熊本大学大学院生命科学研究部 放射線診断学分野 山下 康行教授は「DLRは、今までのMRI撮像の概念を変える可能性があり、超高分解能画像の短時間収集や定量解析での安定性向上など発展性が期待される」とコメントしている。

また、ボルドー大学国際関係担当副学長であるVincent Dousset教授は「昨年11月に導入したキヤノンメディカルの最先端3テスラMRIシステムで得られる超高分解能画像は、DLRとの組み合わせにより、7Tに近づく画像を描出可能であり、これまでの高磁場MRI研究を一部代替できる可能性がある」との見解を示した。