金融機関などのスマホアプリが登場して、忙しい人たちの利便性が高まった。そして近年それらは、パスワードではなく、指紋や顔や虹彩といった生体認証技術でセキュリティを確保し、利用における煩わしさの解消と安心感を両立させた。けれども生体認証とて万全ではない――
偽造指による誤認識への対応や生体反応などの確認が求められている。従来の指紋認証技術では、指紋の第一次特徴である蹄状紋、渦状紋、弓状紋などの指紋の形状と、第二次特徴である指紋の隆線の分岐点や端点などの指紋特徴を用いた画像認識による指紋判定を行ってきた。しかしスマートフォンなどで用いられる小型・低コストの指紋センサーでは、誤認識が発生するケースがあったという。
東京大学のSiSOC TOKYOグループ、およびDDS社はきょう、産学連携研究の成果として、指紋を高解像度で撮影することで得られる第三次特徴を利用する新しい解析アルゴリズムの開発に成功したことを発表。これまで難しかった皮膚の微細構造による解析により、指紋から本人性を抽出し、生体認証分野で認識率の高い個人認証方法を確立したという。
同研究では、従来の第一次および第二次特徴だけでなく、第三次特徴と呼ばれる汗孔(かんこう)などの指紋の隆線の微細構造を解析することで認証を行う高精度の認証アルゴリズムを実現。汗孔をはじめとする微細構造は、従来多く利用されてきた隆線の分岐点や端点などと呼ばれる指紋の特徴点と比べ、非常に多く存在する。ゆえに小さな面積のセンサーであっても、高解像度で撮影し、微細構造を抽出することで、高精度で認識を行えるとのこと。
今後両者は、より小さな指紋センサーへの対応、偽造攻撃への対策強化とともに、上記手法を用いた指紋認証方式をスマートフォンメーカーなどへ提案していく構えだ。