スマホでストレス測定、各種センサーデータから科学的に推定・評価

メンタルヘルスの重要性は近ごろテレビ番組等で知るだけでなく、職場や学校などで実感することが多い。明日は我が身、ストレスは誰しもが経験する。

厚生労働省の平成26年統計によると精神疾患の患者数は年々増加傾向にあり、メンタルヘルスに関する社会的な関心が高まっている。現状、ストレスを測る方法は、アンケートによる主観的なものと、心拍など生体情報を元にした客観的なものとの二種類。それぞれ利用者による回答もしくは心拍計を必要とする。本人がストレスに気づいていなければ、メンタルの不調に陥りやすいという。

NTTドコモは、慶應義塾大学および東京大学と共同で、日常スマートフォンを使いながら自身のストレス状態を推定できる技術を開発した。心拍計不要の同技術は、スマホの加速度・位置・利用状況といった各種データ、ストレス状態における行動特性やストレス状態計測に関する精神医学・心理学の知見、行動認識に関するセンサーデータ処理の知見、ビッグデータ解析技術やAI(人工知能)技術を組み合わせて――これらを基にストレス推定を行う。

手順は、1)心拍間隔の揺らぎを解析し、ストレスを客観的かつ定量的に計測して利用者のストレス状態を数値化、2)利用者のスマホから得られる各種データを行動特徴として数値化、3)上記二種類の数値の関係性をAIで学習し、ストレス推定モデルを構築、4)この推定モデルに、行動特徴の数値を照らし合わせることで利用者自身がストレス状態を推定する。

心拍データ計測との比較で正解率が約70%であった。推定モデルの評価過程において、移動距離やアプリ利用回数などが自律神経バランスの指標と高い関係性を持つことがわかった。今回の技術により、ドコモは、利用者のストレス状態を推定し、定期的にフィードバックすることで、ストレスマネジメントの意識を高め、心身を健康な状態にする0次予防をサポートすることが可能だという。