'17年国内パブリッククラウド市場は前年比3割増、選択に変化も

近年、IT(情報技術)システムは所有するものから利用するものへと、その位置づけが大きく変わった。インターネット経由でアプリケーションや計算・記憶資源を利用するクラウドコンピューティングが、ユーザーおよびITベンダーの定番となっている。

クラウドは、ユーザー自らがその仕組みを構築運用する「プライベートクラウド」、サービス事業者がそれらを代行する「パブリッククラウド」とに大別される。そしてその仕組みは、ハードウェア資源をサービス化する「IaaS」、基本ソフトやミドルウェアをも含めたプラットフォームを提供する「PaaS」、アプリケーションをネット越しに利用する「SaaS」が主要3種である。

パブリッククラウドサービスをグローバル展開する大手事業者は、IaaS、PaaSをメインにしていて、この分野ではアマゾンウェブサービス(AWS)が先頭を走っていて、MSが"Microsoft Azure"にてAWSを猛追している構図だ。

そこで矢野経済研究所は、日本のパブリッククラウドサービス(IaaSとPaaS)市場調査を実施。国内法人517社を対象に、直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、郵送によるアンケートの結果、'17年の同市場は前年比33.3%増の2,400億円だとし、'21年には6,500億円に達すると発表した。

大手金融グループのAWS採用発表により、金融業にてパブリッククラウドの導入が進み、その動きが他業種へと波及している。今後はAIやIoTがPaaSを牽引、エンタープライズ分野のシステム案件増加に伴い案件自体の大規模化・長期化が進むという。

同社はまた、パブリッククラウドを導入検討中の34社中12社がMicrosoft Azureを志向していて、同サービスはエンタープライズ用途における高い信頼などを背景に、今後も多くのユーザー企業を獲得し、シェアを拡大していくだろうとしている。