光伝送信号パラメーターの深層学習を用いた推定技術を開発

富士通研究所、Fujitsu Laboratories of Americaと富士通研究開発中心有限公司は、光ネットワークの構築・運用管理を容易にするため、光受信器の入力信号から光伝送信号パラメーターを直接推定する技術を開発した。

今回、遠隔の光受信器における光伝送信号からネットワークの構築・運用に必要となる光伝送信号パラメーター(SN比、変調方式、シンボルレート)を測定する技術を開発した。

開発した技術では、光受信器の受信信号を深層ニューラルネットワークへの入力データ、専用測定器で測定した結果を教師ラベルとし、深層ニューラルネットワークが専用測定器の測定結果を再現するように学習することで、光伝送信号パラメーターを推定する。

受信した光伝送信号には、レーザー周波数などの信号特性に偏りが生じるため、そのまま学習データとして利用すると、偏った状況に特化した学習となってしまい、推定誤差が大きくなってしまう。そこで、光伝送信号を元に状態を変えた信号を仮想的に生成した。

例えば、レーザー周波数を変えたデータを仮想的に多数生成し、それらを合わせて学習データとすることで、様々な状況を学習結果に反映することが可能となり、推定誤差を小さくできるという。

今回、実際の光ネットワークに適用される光受信器を模擬した伝送実験系を構築し、約1万個のデータによって光SN比は1%の誤差で、変調方式とシンボルレートは5%の誤差で推定可能なことを実験検証した。この技術を用いることで、これまで専門家が専用の測定器を用いて数日かけて行っていた作業を、遠隔かつ分単位の時間で推定できるようになると期待されるという。