2016年度のERP市場は前年度比9.3%増と堅調、ITR

アイ・ティ・アール(ITR)は、国内のERPの提供形態別とパッケージ製品の運用形態別市場規模推移および予測を発表した。2016年度のERP市場は前年度比9.3%増と堅調、2017年度は同11.7%増になった。

国内ERP市場の2016年度の売上金額は809億円、前年度比9.3%増と堅調な伸びとなった。大企業を中心に基幹システムの再構築が進みつつあることが背景にあるという。2017年度もERPへの投資が順調に続いていることから、同11.7%増の好調な伸びを予測している。

同市場を、パッケージとSaaSの提供形態別に分類してみると、依然としてパッケージ市場が約8割のシェアを占めているが、近年SaaS市場が急速に拡大しており、2016年度の売上金額は前年度比44.2%増の137億円となった。2021年度にはSaaS市場がERP市場の45%にまで達すると予測している。

次に、パッケージ市場を運用形態別に比較してみると、パッケージをオンプレミスで運用することよりもIaaSで運用する企業が急速に拡大。現時点では「Amazon Web Services」での運用が主流となっているが、「Microsoft Azure」や各ベンダーが独自に提供するIaaSでの運用も拡大傾向にある。

ITRのプリンシパル・アナリストである浅利 浩一氏は、「国内ERP市場は、グローバルの趨勢と同様に、SaaSとパッケージ(IaaS)を合算したクラウドERPが市場全体の成長性を牽引するトレンドに完全に切り替わった。2017年度の売上金額では、3割以上がクラウドERPで占める見込みであり、2018年度には半数を超えることも予測される。現状では、パッケージ(オンプレミス)の新規売上げが前年度を上回る要素が特に見当たらない。国内ERP市場の今後の主流は、クラウドERPであることは疑いがなく、企業は、レガシー化したエンタープライズシステム刷新にあたり、クラウドERPを検討候補として必ず加えることを推奨する」とコメントしている。