早期大腸がんの新規血清スクリーニングマーカーを発見

ウシオ電機の連結子会社であるプロトセラは、京都府立医科大学と共同で、プロトセラが特許を保有する新しい質量分析法「BLOTCHIP-MS法」によって発見された5種類のペプチドが、早期大腸がんの血清スクリーニング検査に有用であることを明らかにしたと発表した。

同社と、京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学の内藤裕二准教授、内山和彦講師らの研究グループが明らかにした。研究成果は『Journal Gastroenterology』誌電子版で発表された。

日本における大腸がん患者、大腸がんによる死亡率は近年増加している。大腸がんは早期発見により根治が可能な疾患であり、死亡率減少のためにはスクリーニング検査が重要となる。

しかし、現在スクリーニングに使用される便潜血や腫瘍マーカーの測定は早期大腸がんの発見には不十分であり、また大腸内視鏡検査は患者への侵襲や、施行できる施設・医師が不足しているなどの理由から、健診用スクリーニング検査法としては適していない。

プロトセラは早期大腸がんを非侵襲的に診断する方法として、大腸がん患者の血清で特異的に変化するペプチド群を「BLOTCHIP-MS法」で発見・同定し、その中から5種類のペプチドの組合せが大腸がんの検出に有用であることを報告していた。今回は別コホートの患者群に対して、各ペプチドの濃度を測定し、既報のスクリーニング成績と比較することでその有用性を検証した。

対象は京都府立医大病院外来受診者で、それぞれの群で性別と年齢を一致させた56人の大腸がん患者と、60人の健常、60人の大腸腺腫患者。採取した血清は「ProtoKey大腸がんリスク検査キット」で処理後、液体クロマトグラフィー質量分析法で5種類のペプチドを測定し、0~1のリスクインデックス値を算出した。

リスクインデックス値は健常者に比べ、大腸がん各ステージで有意に高い値を示し、ステージに従って上昇した。同社によると、結果の中で注目すべきは、手術で根治が望めるステージ2までの段階でも有意に上昇し、大腸がんを早い段階で非侵襲的に診断できることが分かった点だという。

これらの結果から、リスク検査キットを使用した液体クロマトグラフィー質量分析法が大腸がんのスクリーニング検査法として期待できると考えられ。この検査でリスクインデックス値が高く出た受診者は医師による内視鏡検査を経て、最終的な診断結果が下されることになる。