受講者のプロファイルに合った効果的なサイバー演習を可能に

NICTナショナルサイバートレーニングセンターは、これまでのCYDERの事業運営を通じて得られた知見と情報通信研究機構(NICT)が保有するサイバーセキュリティ研究に関する技術を活用し、演習シナリオの自動生成、演習環境の自動構築を可能とする演習自動化システム「CYDERANGE」を開発した。

CYDERANGEは、フライトシミュレーターでも用いられる次世代の演習データ記録方式の世界規格である「Experience API」に準拠しており、演習環境における受講者のあらゆる操作情報を記録し、分析することで、演習の質の向上を可能とする。

受講者のプロファイル(スキルレベルや業務領域等)に合わせて、最新事例を踏まえたサイバー演習シナリオを自動的に生成できる他、生成されたシナリオの舞台となる演習環境を自動的に構築できる。これらの機能の自動化により、演習の運営に係るコストを大幅に削減可能になり、受講者のプロファイルに合わせた効果的な演習プログラムを短時間で作成可能だという。

また、演習環境上では、演習効果の向上を目的として、データ収集エージェントが演習環境での受講者のあらゆる行動(キー入力、マウス操作、ウィンドウ操作)をパーソナルデータの適切な取扱いに配慮しつつ収集し、データベースに蓄積する。

今後、ここで得られた膨大な受講者データを機械学習の技術によって分析することで、演習による学習効果を精密に測定することを目指す。分析機能は2019年度以降に実用化予定。

深刻なセキュリティ人材の不足に対処するため、NICTナショナルサイバートレーニングセンターでは、実践的サイバー防御演習「CYDER」、東京2020大会に向けた攻防戦型サイバー演習「サイバーコロッセオ」、若手セキュリティイノベーター育成事業「SecHack365」の3つの人材育成事業を推進。サイバーセキュリティに関する知識や技術の習得の機会を提供している。