極寒冷地における安定的なエネルギー供給を目指す

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、ロシアのサハ共和国政府、ルスギドロとの間で、風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業に関する協力覚書(MOC)を締結し、実証事業を開始した。

この実証事業は、北極圏に位置しロシア極東でも特に寒冷な地域であるサハ共和国内の独立系統地域であるティクシ市において初めて実施されるもの。風力発電システムを含む系統を安定化させる「ポーラーマイクログリッドシステム(Polar Microgrid System)」を構築し、安定的なエネルギー供給技術に関する実証を行う。

ロシア極東地域には、大規模な電力系統と接続しておらず、電力供給を小規模なディーゼル発電機に依存している独立系統地域が多数存在する。これら地域では、発電用燃料の輸送コストにより発電単価が極めて高い状況となっている。

同国地方政府は、電力価格を電力系統に接続している地域と同等程度に維持するための政策措置を取っており、大きな財政負担を余儀なくされている。また、ディーゼル発電機の老朽化が進み、エネルギー安定供給に支障を来しかねない状況となっている。

このような背景の元、NEDOは、北極圏に位置しロシア極東でも特に寒冷な地域であるサハ共和国において、風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業を実施するにあたり、ロシアのサハ共和国政府とルスギドロとの間で、実証前調査の協力に関する意向表明書に2017年9月6日に署名し、実証事業の基本的なシステム構成やスケジュールなどについて議論を進めてきた。

実証事業では、風力発電機とディーゼル発電機の効率的な運用により、年間約16%ものディーゼル燃料の焚き減らしが可能になると見込んでいます。この事業は、日露首脳会談で提示された8項目の「協力プラン」のうち「4.石油、ガス等のエネルギー開発協力、生産能力拡充」に含まれるもの。