ステレオカメラで撮影するだけ、配筋検査を省力化

現代の街は鉄とコンクリートでできている。柱や梁、スラブや壁、基礎にも鉄筋を用いるコンクリート構造物において、それらが正しく配置されてあることはとても重要である。

鉄筋の配置だけでなく、寸法・本数・種別を示した配筋図を基に、コンクリートを打ち込む前に管理者が実際を検する。「配筋検査」は施工を進める上で重要な位置づけにあるものの、事前の準備から検査後の報告書の作成までに多くの時間と手間を要していた。特に、鉄筋径を区別するマーキングや、鉄筋の間隔を示すスケールスタッフの設置など、検査前の準備作業の負担は大きく、省力化が切望されていたという。

鹿島建設は、NEC、オリンパスと共同で、立体写真用のステレオカメラとタブレット端末を連動させたコンクリート構造物の「自動配筋検査システム」を開発した。検査対象を撮影するだけで鉄筋径、間隔、本数の自動計測が瞬時にでき、検査前の準備作業も不要にする、同システムの活用により、配筋検査の大幅な省力化を実現するとともに、ヒューマンエラーの無い、確実な検査を行えるという。

①ステレオカメラで検査対象を撮影すると、②3次元データがタブレット内部で自動生成、③生成データから配筋された鉄筋のみが検出、④検査範囲をタブレット画面上で指定、⑤画像処理技術により自動計測された「鉄筋径」、 「間隔」、「本数」が画面上に表示、⑥計測結果がデータとして記録――までが自動で行われる。今回開発したシステムは、鹿島技術研究所における基礎的な計測精度実験と土木現場での適用実験を経て、その実用性を確認したとのこと。

同社は今後、このシステムを土木現場における自主検査に適用して実績を蓄積するとともに、AI(人工知能)の活用による画像処理技術の更なる高度化や、検査報告書の自動作成機能の開発、ステレオカメラ・タブレット端末の小型・軽量化など、システムのブラッシュアップも進めていく構えだ。