世界最大の試験高炉でCO2削減、高炉ガスからの分離回収も

地球温暖化の防止が急務である。世界で二酸化炭素(CO2)排出量の最も多いは中国、次に米国。日本の排出量は両国の1/4以下だが、世界で5番目に多い。

大気中のCO2濃度の増加は、ほとんどが化石燃料の燃焼によるものであり、工業化の進んだ国は排出量が多いうえに、一人当たりの排出量が途上国のそれを大幅に上回っていて、とりわけ重い責任を担っているとJCCCAはいう。

他方、NEDOは、鉄鋼業からのCO2排出量に注目している。その量は1.8億トン('13年度)と、産業・エネルギー転換部門の中で多く、国内CO2排出量の14%を占めるため――。日本の鉄鋼業は、1970年代以降、省エネルギー化に取り組み、今では鉄鋼生産におけるエネルギー効率は世界一。さらなるCO2排出量削減には、革新的な製鉄プロセスの技術開発が必要だという。

同機構は、神戸製鋼所、JFEスチール、新日鐵住金、新日鉄住金エンジニアリング、日新製鋼とともに、'16年度に新日鐵住金の君津製鐵所構内に建設した世界最大規模の試験高炉(容積12立方メートル)において、CO2排出低減効果の検証試験を完了したと、きょう発表した。

計4回の試験操業を行い、水素を鉄鉱石の還元材として利用することで高炉からのCO2排出量を削減する技術と、高炉ガスからCO2を分離・回収する技術を検証した。結果、CO2削減・分離・回収技術の確立にめどが立ち、製鉄プロセスのCO2排出量を約30%削減する目標達成に向けて、大きく前進した。

要素技術の開発および試験高炉の建設フェーズを経て、今回得られた成果を基に、フェーズIIで試験高炉での操業条件の最適化や、実高炉を用いた水素還元効果の部分検証と3次元数学モデルの精度向上などを進め、CO2排出低減効果を検証する。一連の取り組みにより、2030年頃までに上記目標値を満たす高炉の実用化と、2050年までの普及を目指すという。