大規模工場でのLPWA無線インフラの実現を目指す、ドコモら

NTTドコモ(ドコモ)とデンソーエスアイは、IoT向け通信技術「Low Power Wide Area(以下、LPWA)」を活用した無線インフラシステムの大規模工場での運用開始を目指し、実証実験を開始した。

ドコモは、開発したLPWA-IoTゲートウェイと端末で構成する無線インフラシステムについて、ファクトリーIoTをはじめとする様々なIoT活用場面への適用・展開を目指す。ファクトリーIoTとは、工場内のセンサーや機器をネットワークに接続し、データ分析により生産性を向上することを目的として、工場の生産状況や設備の稼働状況を「見える化」する取り組みのこと。

ネットワークに接続する手段としては有線通信やWi-Fiなどが挙げられる。しかし、従来は、工場内での専用通信ケーブルの施設や、多数のWi-Fiアクセスポイントの設置などにより、導入・運用コストが増大するという課題があった。この課題を解決するために、ドコモは、低消費電力・長距離通信・大量機器接続を特徴とするIoTに最適な無線技術LPWAに対応した、ファクトリー向けIoTゲートウェイとIoT端末を新規開発した。

ファクトリーIoTでは、数百バイトを超える大きなデータサイズも取り扱う必要があるが、通常のLPWAでは1回の通信で取り扱えるデータサイズが数十バイトから数百バイト程度と小さい。今回開発したIoTゲートウェイとIoT端末には、データを分割し、結合する機能が備えられている。

今回の実験では、かんばん方式を採用する敷地面積約3.5万平方メートルの大規模工場において、新たに開発したIoTゲートウェイと端末で構成する無線インフラシステムを利用する。工場内に設置されているかんばんのQRコード情報を読み取り、LPWA無線通信で伝送するシステムの運用開始に向けた検証を行う予定。

大規模工場内に、複数台のLPWA-IoT端末を接続した生産機器と、LPWA-IoTゲートウェイを1台のみ配置することで、敷地面積約3.5万平方メートルの大規模工場の全域において、接続機器数やデータ欠損率などの観点から、安定通信が可能かどうかを検証する。Wi-Fiの場合には、アクセスポイントが10台程度は必要となるため、新たに開発したLPWA-IoTゲートウェイを用いることで通信機器の台数を約10分の1に削減できるという。