世界初! 地球のメッシュコードと衛星ビッグデータを統合解析

「ファン!ファン!JAXA!」というサイトには国連宇宙部からの情報として、各国から打ち上げられた人工衛星の数は昨年2月時点で7,600超。地球を周回している衛星は約4,400機とある。

人工衛星による観測技術が発展した近年、全世界レベルで様々な衛星ビッグデータが得られるようになってきた。だが従来、衛星データは、世界位置情報(緯度、経度、面積区画)との標準的な紐付けがなされていなかったため、相互運用が困難であった。相互運用によって複数のデータの統合解析や他のデータ種との相関解析を可能にすることが、衛星データの商用的普及において大きな課題になっていたという。

京都大学の研究グループは、宇宙システム開発利用推進機構、MM総研と共同で、衛星ビッグデータと世界位置情報を統合解析する手法を世界で初めて開発。この手法を用いて作成した、津波リスク予測など各種解析への利活用が期待される標高統計データベースを無償公開した。

同研究グループは、日本工業規格の地域メッシュコード(JIS X0410)を独自に拡張して'17年に世界メッシュコードと呼ぶデータ形式(IEEE掲載論文)を世界初開発――そして、今回の共同研究では、衛星ビッグデータを世界メッシュコードに紐づけて「統計データベース」を高速に生成する新アルゴリズムの開発に成功した。これにより、衛星ビッグデータ量の圧縮率約1/337を達成したという。

新手法を用い、経産省開発の衛星センサ「ASTER」/NASA衛星「Terra」搭載によって観測(イメージ例)された1秒角ごとの全球3次元地形データを、「世界メッシュ標高統計データ」とした。データベースは、世界150以上の国と地域に対応していて、たとえばスリランカの比較解析では、最低標高地域にて津波ハザードと人工構造物密度との関係を示した。津波に対して安全である新たな開発地域を推定することも可能だという。