「IoT」時代を迎えた今、船舶もIoT化が進んでいる。海事産業全体におけるビッグデータ活用機会の最大化を目指して、日本海事協会は(株)シップデータセンターを設立。日本舶用工業会は、船舶IoT分野に関する国際標準規格化を主導している。
同工業会主催のスマートナビゲーションシステム研究会が国際標準化機構(ISO)に提案した規格には、「ISO/FDIS 19847:航海系、機関系、その他の系統の実海域データを、時間軸をそろえて共有するための船内のデータサーバー諸要件」や「ISO/FDIS 19848:機器やシステム間の連接利便性向上のための船舶搭載機器間、またはシステム間でやり取りされる各種データ標準」がある。
そしてきょう、日本郵船(NYK)、MTI、NTTおよびNTTデータは、敦賀・苫小牧間を毎日運航するNYKグループの次世代型省エネ船「ひだか」で、船舶IoTの次世代プラットフォームに関する実証実験に成功したと発表した。
NYKグループでは、安全・効率運航への取り組みの一つとして、運航状態、機器状態などの詳細な船舶データをモニタリングし、船と陸上で情報共有するパフォーマンスマネージメントシステム「SIMS」の開発を進めてきた。昨年9月以降、上記4社が連携し、NTT研究所のエッジコンピューティング技術を応用し、船上のSIMSに新機能やアプリケーションを陸上から遠隔配信・管理する仕組みを付加――。配信実験は、社会インフラIoT分野等で実績のあるNTTデータの「ANYSENSE™」を用いて行ったという。
次世代プラットフォームは、上記国際標準規格化に対応しているうえに、収集したデータを船上で活用するだけではなく、日本海事協会のシップデータセンターにも送信・蓄積。これにより、海事業界で推進している船舶IoTオープンプラットフォームでの利用も可能になるとのことだ。