IoT用いて学内"空間の価値"をMaxに

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の活用が多彩な分野に広がりつつある。それらの多くは、人や物からのセンシング情報を分析し、サービスや製品、工程、環境等の改善や創出につなげようというもの。学び舎だって、例外ではない。

建物内などの閉空間では、そこで活動する人の動きや人口密度、天候・時間による光の差し込み具合などのさまざまな環境要因が、業務や学習の効率に影響を与えている。そのため、「空間の価値」の最大化には、環境要因の変化に迅速に対応することが重要だという。成蹊大学とNTT Comは、昨春に開始したIoT技術を用いた環境モニタリング実証実験において、大学講義室内や図書館内に設置した「EnOcean」センサーから、適正な環境データ(温湿度)を取得することに成功。

このたび、温湿度に加え、照度・CO2濃度データなどを収集し、学生や教職員からの体感評価と組み合わせることで、学生の快適な学習環境を実現するための「空間の価値」最大化に向けた実証実験を今月19日から開始すると発表した。成蹊大学は、実験場所として大学講義棟や図書館などを提供し、小川教授研究室にて収集した温湿度・各種気流データの可視化および分析を実施する。

そしてNTT Comは、ネットワークやIoTプラットフォーム「Things Cloud®」の提供、「EnOcean」センサーの設置、通信事業者としての保守運用ノウハウ、照度やCO2濃度などのデータ分析などIoTのトータルソリューションを供する。

今後、成蹊大学は学生や教職員がキャンパス全体で快適な生活を送れるように、各種空間データの最適値を定めた「環境空間ガイドライン」の完成を目指す。一方、NTT Comはセンサー設置やデータ取得・分析ノウハウの高度化を図り、電池レス・配線レスの国際標準規格「EnOcean」の活用促進と、IoTトータルソリューションの強化に努めていく構えだ。