眼底の疾患、画像をAIスクリーニング

眼科はいつも混んでいる。町の医院を訪れれば、分業で手際よく患者がさばかれていく様子を目にできるが、それでも医師の診断を受けるまでに長い時間待たされる。先日、わけあって紹介状を手に当編集部員が訪れた国立病院の眼科も、中高年男女で大混雑していた。

複数ある診察室を患者がひっきりなしに出入りしていて、各種検査を受ける当方は、合間に昼食をとったりしていたが医師は夕刻まで休む間もない状態で、毎日こんな有り様なのだろうかと考えさせられた。昨今、医師不足や医師の偏在が社会問題化するなかで、全国市町村1,718自治体中、眼科医が存在しない自治体は682自治体に及ぶという。

エアコンの使用、PC・スマホの利用、コンタクトレンズの装用といった要因でドライアイ患者が増えているうえに、視力回復手術への関心の高まりなどもある。日本は超高齢化社会へと向かっていて、目の病気にかかる高齢者数も増加するだろうという。MieTech社、慶應義塾大学医学部眼科教室、OKWAVE社は、人工知能(AI)を用いた眼科疾患スクリーニングプログラムにおいて、医師の読影観点を組み入れることでAIの判定精度、判定内容を向上させていて、きょう、健康な眼底写真を判別できる段階となったと発表した。

眼科医のスクリーニングを支援し業務負担を軽減する。と同時に、眼科のない自治体でも疾患の早期発見と眼科への紹介を行えるようにする。同プログラムは、約9,400点の眼底写真を対象に画像処理を施して深層学習を行い、医師による診断結果情報で調整した学習モデルを使ってスクリーニング用の基本自動判定を行う。

AIの活用では、「検診センターとの連携による眼科疾患の早期発見」、「海外の医療へ貢献、ミャンマーなど医療提供体制が乏しい地域での実装」、「糖尿病の進行など、眼の状況から眼以外の病気を発見できるような研究開発」をめざしている。