センサーや電子部品の小型化を促進する技術を開発

センサー、MEMS(微小電気機械システム)製品の設計、開発、製造、販売を行うテクノロジー・イノベーションは、小野田製作所と長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門と共同で、微細な金属材料と樹脂材料を複合させ立体形成する技術を開発した。

MEMSとは、センサーや電子回路を微細加工技術で集積化したデバイスのこと。MEMS製品は動作させるために電気配線が必要となる。従来のMEMS製品は電気抵抗が高いシリコン上に金属薄膜を形成して配線を行うが、金属薄膜は微細化すると強度はもろくなり、強度と電気特性を両立させることは困難だった。

この課題を解決するため、テクノロジー・イノベーションが有するMEMS開発に関する技術をベースに、電子部品・機械部品への微細メッキを得意とする小野田製作所が強度・電気特性に優れたメッキ技術を、長野県工業技術総合センターがMEMSプロセス、評価技術を持ち寄り、構造体の強度と電気特性を両立できる金属材料と樹脂材料から構成される微細な立体構造物を形成する技術の開発に成功した。

今回開発した技術は、MEMS技術を応用した微細加工技術のため、曲線や微細な凹凸などの複雑形状を、0.01mm以下の高い精度で作り込むことが可能。また、導電性である金属材料の形成プロセスを最適化することで、良好な機械的強度と電気特性を維持することに成功したという。

さらに、金属と絶縁性材料を複合化した構造物を一括形成する技術により、絶縁材料を介して金属を密着できる。そのため、微細構造物の強度が向上し、これまでにない電子デバイスへの応用が可能だと説明する。

加えて、立体形成技術はフォトリソグラフィとメッキ技術を組み合わせた、大気中でスケールアップが容易な手法を採用。いずれの技術も生産性が高く、量産効果による低コスト化が図れるという。

今回開発した技術を活用することで、微細でありながらも構造体としての強度を保ち、電気特性も維持できる立体構造物を形成することを可能にする。そのため、センサーや電子部品の通常の10分の1以下に小型化できる。テクノロジー・イノベーションでは、センサーや電子部品の開発に最適化し、微細製品の開発・製造受託や新たな微細デバイスの商品化を目指す。