近ごろロボットがよく話題になる。日本を製造大国にした種の一つは産業用のそれであり、世界では今、人工知能などを使ったデータ解析や、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」といった先端テクノロジーを生産現場に展開してなす、「第4次産業革命」が起こりつつある。
IoTやロボット工学などを活用したものづくりの革新が進む中、生産ラインのダウンタイムを極小化する故障予知技術への要求はますます高まっているという。電通国際情報サービス(ISID)は、関連会社の米国プレディクトロニクスが保有する産業用ロボットの故障予知分析アルゴリズムをマイクロサービス化し、GEのIoTプラットフォーム開発者向けサイト「PREDIX」で無償公開。同プラットフォーム上で稼働する、GEグループ以外の企業による分析サービスは世界初となる。
今回公開したマイクロサービスでは、産業用ロボットの稼働データ(電流値、回転角速度または角度)を入力情報として算出した健康状態――予め設定した正常値と実際の稼働データとの乖離幅がどの程度かを導き、故障の可能性を独自のアルゴリズムで数値化した指標――を分析する。一般的な稼働データを用いるため、ユーザーは、すでにある稼働監視の仕組みを使って、高精度な故障予知アルゴリズムを組み込んだ分析システムの構築が可能(産業用ロボットは6軸まで対応でき、取り扱いメーカーは不問)だという。
ISIDは、このマイクロサービスを汎用性の高い産業装置向けに無償公開することで、故障予知技術の導入をためらっていた中堅・中小企業の翻意や、大手企業における試験導入などを想定していて、故障予知ソリューションの市場拡大を図っていく考え。無償公開は今年5月中旬までを予定していて、今後は産業用ロボット以外の装置への対応や、多様なプラットフォーム上でのマイクロサービス提供を計画している。