英仏に続いて、ドイツまでもが内燃機関のみで走る自動車の販売禁止に向かおうとしている。今日、日本国内を見渡せば、ハイブリッド車(HV)は珍しくなく、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も市民権を得つつある。
いずれも「電動車」。つまり駆動用の電池を搭載している。それはガソリン車やディーゼル車のエンジン点火および電装品用の小型電池よりも遙かに強力で、しかし小型電池と同様に、定期交換が必要だ。古くなり性能の低下した巨大電池は交換後どこへゆくのか――。電動車がもっと増えれば、この疑問、問題はますます膨らんでゆくだろう。
きょう、中部電力とトヨタ自動車は、電動車の駆動用電池をリユースした大容量蓄電池システムの構築、および使用済み電池のリサイクルについて実証を開始することとし、基本合意書を締結したと発表した。
中部電力は、再生可能エネルギーの大量導入に対して需給バランスの変動に的確に対応するとともに、電力系統の更なる合理的運用に向けた取り組みを推進している。一方、トヨタは、「電動車普及に向けたチャレンジ」を昨年末に公表するなど、電動車の普及を積極推進するとともに、電池の有効活用など、その普及を支える社会基盤の整備にも取り組んでいる。
そして今回両社は、単体性能の落ちた電池を多数組み合わせた蓄電池システムにより、電力需給調整への活用や、周波数変動および配電系統の電圧変動への対応など、電力系統の課題解決に加え、火力発電所の合理的な運用も目指す。システムの実証を'18年度に開始し、'20年度には発電出力約1万kW・電池1万台相当分の導入を計画している。
リユースするのはHVのニッケル水素電池で、'30年度頃には、今後普及が見込まれるEVやPHVのリチウムイオン電池も活用する予定。リサイクルにおいては、レアメタルなどを回収・再資源化して活用する仕組みの確立を検討していくとのことだ。