ダム湖や河川で働く、水中点検ロボのパフォーマンス評価に向けて

橋やトンネルなど社会インフラの老朽化が懸念される。この国ではそれらの維持管理負担の増加に加え、生産年齢人口の減少にも直面しているために、無人航空機による効率的な点検手法が開発されつつある。が、これまで水中の構造物に用いられる新手法の話はほとんど聞いたことがない。

巨大構造物であるダムは、空中から確認できる部分の裏側に、水中でしか発見できない問題箇所を抱えているかもしれない。大きな川においても、土手の下部を含む河床の様子は上空から撮影しただけでは分からず、人がそれを確認するとなると危険だし、大変な労力になる。

社会インフラにおける多くの課題の解決に向けて、作業・点検支援ロボットの開発が盛んだが、その性能を測るモノサシが明らかになっておらず、性能評価基準などの策定が喫緊の課題になっているという。NEDOは、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、各種ロボットの性能項目や導入前性能評価のための試験方法、計測システム等をまとめた日本初の基準づくりに取り組んでいる。

今回、ダムや河川における水中点検用の遠隔操縦ロボットの性能評価基準策定に向け、パナソニック、朝日航洋、パナソニックシステムソリューションズジャパンとともに、東亜建設工業と東京大学の試験用水槽施設を用いて、水中点検ロボットの性能評価のための試験方法などを検証する試験を昨年12月に実施したと発表。

同試験では、試験用水槽でロボットを航行させ、ダムを摸した壁面の傷、河床の洗掘把握の点検プロセスに沿ったロボットの性能評価の試験方法と、試験に要するテストピースの仕様や配置方法など試験環境の妥当性とを検証し、ダムおよび河川点検におけるロボットの活用に向けた基準策定に必要となる各種データを取得できたという。

NEDOは今後、この知見を福島県へ提供して、福島ロボットテストフィールドの設計に反映させる構えだ。