防災情報、低電力・広域ネット技術にて各戸へ

現在のシステムは移動体通信網を通じて、地域内に配備された屋外スピーカー装置、タブレット端末、携帯電話などへ行政・防災情報等を配信している。けれども近年、情報伝達技術の進歩により、多様な機器・手段を組み合わせた、より確実な情報伝達が求められているという。

NTTデータは、同社の「減災コミュニケーションシステム®」において、最新の無線通信技術であるLPWA(低消費電力・広域通信)を活用した戸別受信端末を商品ラインナップへ今夏追加し、自治体に向けて提供開始すると発表。屋外スピーカーの音声が聞こえづらく新設等を迫られていた地域や、モバイル機器を持たない住民への確実な情報伝達において、より一層の貢献を目指す。

今回の強化策に先立ち、昨年8月から12月まで、埼玉県秩父郡横瀬町が推進しているプロジェクトサポート施策――地方創生や新たな公共サービスにつながるようなアイデアや事業モデルを広く募集する、官民連携プラットフォーム「よこらぼ」の採用事業として、同町と同社は、LPWAの情報伝達インフラとしての有用性を検証したという。

自然豊かな山間地域と、人口が集中する居住地域で構成されているのがこの町の特徴であり、NTTデータは、LPWAの電波を発する親局を横瀬町の各種フィールドに設置し、無線伝送範囲と電波強度の測定作業を平地部・山間部の屋内・屋外にて実施。横瀬町は、親局設置場所の提供、地権者との交渉、測定に係る協力住民の募集等、実証試験を円滑に進める上でのサポートを行った。結果、親局からの無線電波は広範囲の世帯をカバーできることから、行政・防災情報を伝達するにあたって十分な性能があるとの結論を得られたとのこと。

今後も両者は、LPWAを活用した戸別受信端末の商品化に向けた詳細検討において協力体制を継続するとともに、地域におけるLPWA活用の発展可能性についても協議検討を続けていく構えだ。