日本の技術、インド北部で配電をスマート化

近年、日本国内では電力供給、配電網の革新が進んでいる。需要家のもとにスマートメーターを配するなどして、安定供給と計画的な電力利用の両立が図られつつある。他方、経済成長が著しく電力需要が急増している国では、電力に関わる様々な問題が生じている。

人口13億強、10年後には日本のGDPを抜いて世界第3位の経済大国になるだろう、インドでは今、インフラ整備の遅れによる慢性的な電力不足、長い事故停電時間、盗電・電力メーター改ざんなどが起こっていて、配電会社においては、スマートメーターなどのスマートグリッド関連技術の導入による配電設備・システムの拡充が喫緊の課題となっている。

そのためインド政府は、配電ロスの少ない次世代配電網の構築を目指す政策を掲げるなど、スマートグリッド関連技術への関心が高く、電力省主導で、14の配電網をスマート化するパイロットプロジェクトを推進。そして日本の国立研究開発法人NEDOは、インド電力省などと、ハリヤナ州パニパット市を対象としたスマートグリッド関連技術実証事業と、キャパシティ・ビルディング事業の実施に関する基本協定書を'15年末に締結し、上記スマート化パイロットプロジェクトの一つとなっている事業を実施してきた。

同機構はきょう、北ハリヤナ配電公社(UHBVN)とともに、パニパット市内に監視制御システムと約1万台のスマートメーターを設置し、実系統でのスマートグリッド実証事業を本格的に始動したことを公表。この実証事業では、市内特定エリアにおいて、監視制御システムにより配電系統を監視・制御するとともに、設置したスマートメーターから電力消費量のデータを集約。これにより、同国の配電会社が抱える課題である配電ロスを低減する技術の実証を行う。

NEDOは今回の取り組みを通じて、インドの配電網のスマート化に貢献するとともに、日本のスマートコミュニティ技術の普及促進を目指すという。