日本では今、橋梁などの社会インフラの老朽化が急速に進むことが懸念され、それらを維持管理する費用は増加傾向にある。少子高齢化による人材不足も年々深刻化している。
これらの課題解決に向けたインフラ点検支援ロボット等の技術開発が活発ではあるものの、点検ロボットの性能を測るものさしが不明確である。技術開発の促進および普及のためには、ロボットや無人航空機(ドローン)の性能を測るものさし、試験方法、評価基準などの策定が喫緊の課題であるという。
NEDOは、同機構の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、橋梁点検に用いるドローンの性能をその現場導入前に評価できるようにする、試験方法および計測システムなどをまとめた日本初の性能評価基準の開発に取り組んでいる。富士通、NEC、イクシスリサーチ、エンルート、プロドローンとともに、千葉県東金市の模擬橋梁実験施設にて、同基準策定に向けた試験方法を検証する飛行試験を実施したことをきょう発表した。
試験は、エンルート・ドローンフィールド東金に設置した模擬橋梁実験施設を用いたという。今回、ドローンによる近接画像撮影や打音検査などの橋梁点検プロセスを再現。実際にドローンを飛行させ、同プロセスに沿った性能評価法やそこで必要となる計測システムの妥当性を検証した。特設の送風設備を用いて、橋梁の支承部付近の風などの外乱を考慮した試験環境の妥当性の検証も行った。
これにより、橋梁点検におけるドローン活用に向けた性能評価基準策定に必要な各種データを取得できたという。NEDOは今後、'30年に7,000億円と予測される社会インフラ維持管理・更新のためのドローン・ロボット関連市場の創出にも寄与。福島県との協定および取り組みの一環として、「福島ロボットテストフィールド」の試験用橋梁でも検証が実施できるよう、得られた知見を県へ提供していくという。