サイバー空間における悪意の攻撃は止むことがない。近年、それはますます巧妙化し、完璧な防御がいっそう難しくなっている。企業・団体では、ネットワークを常時監視し、不正アクセスをいち早く発見することが肝心――。
ネットワークデータを即時収集・蓄積、解析することが重要である。けれども今、多くの組織において、仮想化技術の導入が進んでいて、物理基盤のみに基づく従来の技術ではそれがままならない。仮想ネットワークのデータ収集時に通信速度が数Gbpsを超えたり、大容量データを複数箇所から収集して蓄積したりする場合に、データの一部が欠損してしまい、通信データの正確な解析を行うことが困難であったという。
NEDOが管理法人を務める内閣府事業において、富士通は、仮想ネットワークから従来技術の約7倍となる10Gbpsの速さで通信データを欠損なく収集する技術①を世界で初めて開発した。さらに、仮想・物理ネットワークを含む大規模かつ広範囲なネットワークの通信データを合わせて分析可能にするため、仮想・物理ネットワーク双方から合計100Gbpsまでの通信データを欠損なく汎用PCサーバ上に蓄積する技術②も開発した。
①の技術は、仮想ネットワークの通信性能を向上させる高速収集技術と、大量通信による輻輳を回避しデータを転送する高速転送技術とを組み合わせることにより実現――仮想ネットワーク内を正確かつリアルタイムに監視することが可能となる。そして②の技術では、通信データの特性に応じて格納先を振り分け、格納先を示すデータ検索管理情報を付与――データ蓄積処理の集中が避けられるため、PCサーバでデータのスムーズな格納や取り出し、仮想・物理ネットワークが混在する環境でも正確かつ俯瞰的にネットワークの監視が可能になるという。