2018年の中堅・中小企業におけるIT活用の注目ポイント
同社によると、年頭の景況感では「2018年も引き続いて、景気拡大が続く」という見方が多いという。IT市場にとっても、2020年までの3年間には「元号変更」(2019年5月)、「消費税率改正」(2019年10月予定)、「Windows 7 延長サポート終了」(2020年1月)、「東京オリンピック」(2020年7~8月)など普段はIT活用意欲の高くない企業においてもIT支出増に繋がる機会が続き、2018年はその準備期間になるとみている。
IT企業としては将来的な変化に目を向けつつ、ユーザー企業が効果を実感できる身近な業務改善を訴求することが重要となるという。その有力候補として、同社は「RPA(Robotics Process Automation)」を挙げる。2017年のRPA導入はデータ転記など、「ルールに基づく自動化」が主体だったが、今後は「認識/類推を伴う自動化」へと適用範囲が拡大していくと考えられる。「自社製品に関するQ&A業務の自動化」のように範囲を限定してRPAにAI(人工知能)の要素を組み入れれば、中堅・中小企業における導入/活用も現実味を帯びてくると予測する。
ノークリサーチでは、年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、32項目に渡る「今後のビジネス環境に影響を与える施策や動き」を尋ねた。その結果の中から「シェアリングエコノミー」「インバウント対応支援」「東京オリンピックの準備」に関する結果に着目している。
「業績にプラスとなり、IT支出も増える」の回答割合は「インバウンド対応支援」や「東京オリンピックの準備」が「シェアリングエコノミー」を上回っている。だが、前者の2つは恩恵を受けられる地域が観光地などに限られる上、2020年以降は反動減が懸念される項目でもあるという。ビジネス機会が広範囲に渡り、かつ中長期的に持続するという観点では「シェアリングエコノミー」の動向にも注意を払っておくことが重要になるとの見解を示す。
また、新たなIT活用領域と関連が深い「音声指示/音声操作」「ウェアラブル」「VR/AR」「ドローン」「対話型ロボット」などにも言及している。これらの技術については、IoT(モノのインターネット)が起点なっており、今後のITソリューション提案ではPCとサーバをLANで接続するのと同じように、様々なセンサーや機器を連携させる「裏方のIoT」のスキルが求められてくる。そのための準備を2018年から始めておくことが大切だと説明する。