AI用いて商材監視、不正排除へ

今年の一時期ネットのフリマが世間を騒がせた。タブーとされている"現金"が販売されていたために。誰でも手軽に取引できるウェブ上の店舗・市場は、ときに怪しげな商材が棚に並ぶし、「ばれなきゃいい」という輩が蔓延ることもあるために、なおさら安全対策が重要になる。

不正入手したクレジットカード情報によって、不正取引が行われることもある。カードのセキュリティ対策自体については、「割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)」が来年5~6月に施行される予定であり、日本クレジット協会を中心にして各社で啓蒙と施策が進められている。けれども冒頭に紹介したような忌避商材や、不審な販売行為はクレジットカードへの安全対策だけでは排除しきれない。

そこでJCBは、来年4月の運用開始に向け、NTTデータとの共同開発による人工知能(AI)を活用した加盟店管理システムの構築に着手した。同システムは、AIの画像解析機能により、ウェブ上の文字だけでなく画像情報の解析結果をモニタリングの対象とした自動判定を実施する。

JCBは現在、顧客に安全・安心な決済環境を常時提供することを目的として、各種法令で取引を禁止された商品・サービス(銃火器、輸入禁止動物の販売など)や、同社の規約・契約により取扱いを禁止している商品・サービス(古銭ではない現金の販売など)や、加盟店属性の変化(店舗移動、店舗閉鎖など)について、常時目視でモニタリングを行っているという。

そして今回、AIを活用することにより、同加盟店管理システムで上述のような取扱い禁止商材の販売を検知した場合、従来よりも迅速な対応(加盟店への指導、加盟店契約解除など)が可能となる。この取組みによって、顧客により安全・安心に利用してもらえる環境を充実させるとともに、「改正割賦販売法」による加盟店管理の厳格化に向けた遵法態勢を向上させる構えだ。