FIT適用でバイオマスエネルギー市場が急伸

従来、国内のバイオマスエネルギー利用は原燃料や設備のコストが普及課題であったが、2012年にスタートした「FIT」により、バイオマスエネルギーによる発電電力は20年間の買取対象となったことで、発電(売電)事業での採算が取れるようになり、バイオマス発電市場が急速に拡大している。

矢野経済研究所では、国内のバイオマスエネルギー市場(エネルギー供給量および設備導入量)の調査を実施した。調査期間は2017年4月から11月、バイオマス原燃料供給事業者、バイオ燃料供給事業者、バイオマス発電事業者、バイオマス設備システムメーカーなどを対象に実施した。

バイオマス発電ではコージェネレーション(熱電併給)形態での導入も進むことから、バイオマス熱(蒸気)供給市場も拡大する。さらに、新しいバイオマス原燃料の技術開発が進められており、今後はバイオ燃料供給市場も拡大する。

バイオマス発電市場、バイオマス熱(蒸気)供給市場、バイオ燃料供給市場を合わせたバイオマスエネルギー市場規模(エネルギー供給量)は、2016年度の2,930億円から2017年度には前年度比131.9%の3,864億円、2020年度に6,576億円、2030年度に9,864億円に拡大すると予測する。

バイオマスエネルギー設備市場規模(設備導入量)は、バイオマス発電市場の伸びに牽引されて拡大し、2016年度の2,253億円から2017年度には前年度比110.6%の2,492億円、2018年度に前年度比132.7%の3,308億円に増加すると予測する。ただし、その後、長期的にはFITでのバイオマス発電設備導入が飽和し、本来の市場規模の水準に落ち着くものとみられることから、2020年度には2,343億円、2030年度には1,159億円を予測する。