iPS細胞を用いた脂肪肝の発見・治療に向けて

酒飲みは自虐的に、「おれの肝臓はフォアグラだ」とワイングラスを傾ける。しかし、脂肪肝になるのは呑兵衛だけとは限らない。

ウイルス性肝炎でもないし、酒を嗜む習慣がないのにそうなってしまう――ために最近注目されている、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の数が増えているという。

NAFLはアメリカの肝臓学会ガイドラインによると、「肝臓に脂肪がたまっている」「お酒の目立った習慣がない」「脂肪肝をきたすほかの要因がない」「B・C型肝炎ではない」と定められていて、生活習慣の乱れや内臓肥満、ストレス、昼夜逆転の仕事などが原因でなる。進行すると、肝硬変や肝がんになる恐れもある(出所:国立国際医療センター「肝炎情報センター」)。

早期の発見および対策が重要なのに、多くは自覚症状がなく、検査をして初めて気づく症状だという。疾患NAFLDの治療薬や早期発見に向けて、DeNAライフサイエンスと横浜市立大学はきょう、iPS細胞を活用した薬や発見法の開発をめざす共同研究を実施すると発表。本日より、DeNAライフサイエンス提供の消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE」会員からの、研究参加者の募集を開始する。

共同研究では、MYCODE Research(会員参加型の研究プロジェクト)の一環として、DeNAライフサイエンスが同会員の中からNAFLD関連遺伝子を保有する会員を探す。そしてこのデータを用いて、横浜市立大学がiPS細胞を樹立し、病態モデル(ミニ肝臓)を構築。その上で両者が、構築された病態モデルを用いて、NAFLDの治療薬開発や早期発見法の開発のための遺伝子やバイオマーカー(体の状態を客観的に測定・評価する指標)を探索する。

今回の研究は、「平成29年度 横浜市特区リーディング事業助成金(プロジェクト助成)」の支援のもとに行われるとのことだ。