健康経営ソリューションに布石

近年、就業人口の減少、医療費高騰や保険料の逼迫など、企業と健康保険組合を取り巻く環境が変化し、従業員とその家族の健康が重要な経営要素となっている。企業の健康経営への関心も高まりを見せていて――

昨年から経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営に積極的に取り組む企業を「健康経営銘柄」として選定し公表しているという。富士通は、東京大学医学系研究科川上研究室と、企業の健康情報などを活用し、健康経営の評価予測を行う実証プログラムの共同研究を今月から来年3月まで実施すると発表した。

健康経営を実践し、その成果を上げていくには、企業や健康保険組合が保有する従業員の健康情報を収集、分析し、有効な施策を講じていく必要がある。しかし、各評価指標間の相関関係が不明瞭であるため、目指す成果を実現するためにどのような評価指標に着目すべきかが特定できず、企業内に散在する従業員の健康情報を効率よく収集し、指標を連動させる仕組みも必要となっている。これら課題に対し、共同研究ではまず、評価指標間の相関関係を導き出すアルゴリズムを開発する。

川上研究室が保有する健康関連の様々な調査データや文献をベースに、これまで不明確だった「プロセス評価指標」と「アウトカム評価指標」の相関関係を導出し、そのアルゴリズムと、富士通のヘルスケア関連ソリューションで蓄積される企業内のデータを活用し、現在の「プロセス評価指標」から将来の「アウトカム評価指標」を予測する実証プログラムを開発するという。

同社のソリューションで蓄積されるデータとは、職場ストレスチェックシステム「FUJITSU ヘルスケアソリューション 組織ストレスアセスメントe診断@心の健康」や企業向け健康情報管理システム「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE webH@ins-GX」で蓄えられる様々な健康情報や、人事給与システムの就業データなどとのことだ。