AIを活用してプラスチック射出成形機の故障予兆を検出

電動射出成形機では、駆動機構に搭載されたボールねじのメンテナンスを計画的に実施したいという要求があり、故障の予兆の検出が期待されている。その電動射出成形機の故障を人工知能(AI)で予兆検出可能かを検証する実験が実施された。

住友重機械工業と日本電気(NEC)は、産業機械の故障予兆の検出にAIを用いる実証実験を実施し、プラスチック射出成形機(以下 射出成形機)から出力されたデータを利用した故障予兆の検出に成功したと発表した。

実証実験では、射出成形機に標準的に搭載されているセンサー群の時系列データを利用して、ボールねじが正常な場合と損傷を受けた場合のデータの差異検出が可能かを検証した。具体的には、正常と損傷のそれぞれの時系列データを、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「RAPID機械学習」で分析。RAPID機械学習とはディープラーニング技術を搭載し、事前に手本となるデータを読み込むことで傾向を自動で学習する。NECによると、データの分類や検知、推薦などの高精度な判断が可能だという。

実証実験の結果、1500あるデータセットを20分程で学習し、1データセット当たり0.4秒以内で正常と損傷のデータを高精度で判別できることを確認した。今後両社は、実証実験の結果を基に、産業機械におけるAIを活用した故障予兆の検出、生産された製品の良品判定、運転条件や設定の自動調整の実現に向けた連携を進める計画。