IoT、ウシの突然死を防ぐ

牛舎で草を食むウシはつぶらな瞳をしていて愛くるしい。そして美味しい! と当編集部員など消費者は思うだけだが、ウシの肥育には大変な苦労が伴う。一年365日、24時間見守り世話をする覚悟がなければ、牧場経営はできず、健康で美味しいウシは市場に届けられない。

「ウシの状態を注意深く観察する」ことが非常に重要である。発情や疾病、起立困難や突然死など、注意深い観察によって防げる課題は数多くあるという。デザミスは、行動モニタリングシステム「U-motion®」にて採食・飲水・反芻・動態・横臥・起立などの主要な行動を記録。蓄積データをもとに予測することで、より合理的な牧場経営を可能にし、慢性的に不足している労働力を補い、ロスコストの削減を提案する。

U-motion®がウシの小さな声を拾う。ウシとの新たなコミュニケーションが始まるという。同社と、NTTテクノクロスは、肉用種肥育牛の起立困難状態を検知するアルゴリズムを共同開発。これを新機能として「起立困難牛検知アラート」をシステム搭載し、今月末から提供を始める。サービスは、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」。牛に装着したモーションセンサから得られた情報をクラウドデータベースに蓄積し、起立困難状態に陥った際の特徴的な行動をアルゴリズムが検知しEメールで担当者に牛番号等を通知する。

出荷間際の肥育牛は900kgを超えるため、自らの体重の増加により起き上がれなくなることがある。このような起立困難状態が続くと第一胃内に共生している微生物が生成するガスが貯留し、肺が圧迫されることで窒息し死に至るケースがある。出荷直前の死亡事故は損失金額が大きく、人員を増やして見回りの強化などの対策を行っているにしても、近年、1戸あたりの牛の飼養頭数の増加もあり全ての事故を防ぐのは困難だった。

ところへ、新機能を搭載したU-motion®によるサービスは光明をあてる。