船舶向け省エネソリューションとなる発電システムを新提案

船舶の環境規制が強化される方向にある。2017年9月に「船舶バラスト水規制管理条約」が発効された。また2020年には船舶が排出するガスに含まれる硫黄分の規制も強化される。

三菱重工グループの三菱重工マリンマシナリは、フィンランドのバルチラとの間で、新たな船舶向け省エネシステムの共同販売について覚書を締結した。

今回、共同販売する省エネシステムでは、三菱重工マリンマシナリが取り扱う省エネ発電システムとバルチラが取り扱う軸発電装置を併せて活用することで可能となる。バルチラが保有する特許技術を用いた両社機器の連係で、大容量の発電およびプロペラ推進の加勢ができるようになり、より効果的な船舶の省エネ運航およびエネルギー効率設計指標であるEEDI(Energy Efficiency Design Index)の改善が図れるという。

その一例として、三菱重工マリンマシナリのパワータービン発電機との統合が挙げられる。2ストローク主機エンジンからの抽気ガスを動力源とした約500kWから2000kWの省エネ電力を、バルチラSAMの軸発電装置を介して船内に供給する。その他、ハイブリッドターボチャージャーなどの三菱重工マリンマシンリが保有する各種省エネ発電システムと軸発電装置とを統合できる。

三菱重工マリンマシナリは三菱重工業の100%子会社で、2013年10月1日に、三菱重工の舶用機械の開発・設計・販売・アフターサービス、ライセンス業務を承継して発足した。同社はMET過給機、舶用ボイラー/タービン、プロペラ、フィンスタビライザ、舵取機、デッキクレーン、甲板機械など、幅広い舶用機械のラインアップを有し、三菱重工の技術力をベースに高い信頼性と性能を両立した製品を提供している。

一方のバルチラは、フィンランドに拠点を置き、船舶およびエネルギー関連市場におけるパワーソリューションのグローバルリーダーとして、世界70カ国に約170カ所の拠点と約1万8,000人の従業員を擁している。

三菱重工マリンマシナリではすでに、主に大型コンテナ船向けに多くの実績を積んでいる従来型の排熱回収システムや低温熱源を有効回収・活用する小規模バイナリー発電システムであるORC(Organic Rankine Cycle)による省エネ提案を進めている。今回の新たなソリューションを加えることで、今後、環境規制がより一層強化される海運・造船市場においてより幅広く省エネソリューションの提案を進める考え。