当面不可能と言われていた知的ゲームで人間に勝利したことにより、ディープラーニング(深層学習)は一躍有名になった。
その少し前からAI(人工知能)の第3次ブームが訪れ、生活を便利で楽しいものにする商品やサービスのほかに、人の仕事効率を上げるしくみの開発が進んでいた。
近年、企業における業務プロセスの自動化・最適化などを目的に、AIによるデータ解析や予測技術の活用が始まっている。が、それには専門家による高度なプログラミング技術や既存システムとの連携の知見が求められるため、実ビジネスでの利用はあまり進んでいないという。TISとグリッド社はきょう、グリッドの機械学習/深層学習フレームワーク「ReNom」を活用したサービスの開発・提供について業務提携。その一環として、TISは今月1日付で「ReNom」の販売代理店契約を締結したことを発表した。
AI・ロボット分野の専門組織「AIサービス事業部」を今春立ち上げたTISは、機械学習、自然言語処理などを核にAIの技術・知識と、長年のシステム構築・運用の実績で培った企業の業務プロセス・システムの理解を組合せ、課題解決に向けたAI活用の各種ソリューション・サービスを提供している。一方、グリッドの「ReNom」は、深層学習や最適化アルゴリズム、TDA(位相幾何学を用いた新たなデータ分析手法)など、様々なアルゴリズムをライブラリとして備えている枠組みだ。
複雑な設定を必要とせず、各ライブラリを組み合わせることで専門家でなくても比較的容易に自社のビジネスに適したAIを開発することが可能であり、適用領域は業種・分野を問わないため、すでに幅広い産業で適用実績があるという。ReNomを中心にして、両社は製造・金融・情報通信などの分野において、TISの顧客にデータ分析ソリューションや画像解析ソリューションの提供を行い、業務システムのAI活用を支援する構えだ。