沖電気工業は、武器の拡散やテロ対策強化に向けた発電所などのプラント施設、空港、港湾、エネルギー基地などのインフラ施設をはじめとする、沿岸の重要施設への水上・水中からの不審物や不審者の侵入を検知する「水中音響沿岸監視システム」を開発し、評価キットの提供を開始した。
武器高度化や拡散、テロリズムの台頭などにより、従来とは異なる危険や新たな脅威にさらされている。日本でも、発電所や石油化学関連施設、空港、港湾、LNG基地や石油基地などの重要なプラントやインフラ施設の危機管理体制が見直され、東京オリンピック・パラリンピックに向けての対策も急がれている。
陸上では多様な不審者の侵入監視やチェックシステムが導入されつつあり、対策強化が進んでいる。しかし、沿岸部などの水中からの侵入については、光や電波が届きにくく、監視カメラや監視レーダーといった陸上と同じセンシング技術では十分な対応できないため、対策が遅れているのが現状だ。
OKIは、水中でのセンシングという課題に着目し、不審物や不審者が発する音を検知する水中音響センシング技術を活用した「水中音響沿岸監視システム」を開発。同システムは、水中に設置した音響センサー装置(複数の監視ブイ)と陸上に設置したモニターリングシステムで構成されたリアルタイム監視システム。音響センサー装置は、不審物や不審者の放射音を検知して無線で陸上側のモニター装置へ音響データを送信し、モニター装置は、音響センサー装置から受信した音響データを信号処理や情報処理を行うことで、目標位置を特定し、画面上に表示する。
また、今回提供を開始する水中音響沿岸監視システム評価キットの検証を行うことが可能な施設として、同グループのOKIシーテックが海上計測バージ「SEATECII(シーテック ツー)」という設備を提供する。この施設を利用することで、実環境試験を行う前に、水中音響沿岸監視システム評価キットを検証することが可能だ。同システムの価格は、200万円から。