凸版印刷と寿技研、植物性食品を原料とする模擬臓器を開発

凸版印刷と医療周辺機器などを手がける寿技研は、手術トレーニング用製品の開発で協業。生体と同様の柔軟性・強度・感触などを保有し、形状や病態などをリアルに再現できる、植物性食品を原料とした新しい手術トレーニング用模擬臓器を開発した。

この製品は、従来の手術トレーニングで多く使用されていた動物の皮膚や臓器、シリコン樹脂などの代替となる新しい手術トレーニング用模擬臓器。千葉大学フロンティア医工学センター 川平洋准教授、中村亮一准教授による監修の下、寿技研が保有する植物性食品を原料とする新素材と、凸版印刷が従来培ってきた医療分野における技術やノウハウを組み合わせた。

生体と同様の柔軟性・強度・感触などの物性を保有し、色や形をコントロールすることで、主要な臓器や病態をリアルに再現する。また、多様な手術手技のトレーニングに活用でき、電気メスや超音波メス、超音波画像診断装置などでも活用できるため、実践に即したトレーニングが可能。さらに植物性食品を原料としているため、使用後の廃棄を容易にする。加えて、常温での長期間保存が可能なため、いつでもリアルな手術トレーニングの実施が可能だという。

これまで医師の手術トレーニングでは、動物の皮膚や臓器、シリコン樹脂などが多く使用されてきた。動物保護意識の高まりから動物の皮膚や臓器の使用は難しくなりつつあり、使用時の動物特有の臭気や、廃棄処理の煩雑さが課題となっていた。また、シリコン樹脂では、電気メスや超音波メス、超音波画像診断装置などを用いた際に、生体に近い挙動を再現できないことが課題となり、従来品に代わる新しい製品が求められていた。

凸版印刷と寿技研は大学や医療機器メーカーに向けて2017年12月中旬から販売を開始する。2020年に約5億円の売り上げを目指す。