東京スカイツリー・浅草での5G長距離伝送に成功

2020年代の情報社会では、移動通信のトラフィック量は2010年と比較して1000倍以上に増大すると予測されている。通信事業者各社は、第5世代移動通信システムである「5G」の実現に向けた実証実験を進めている。

東武鉄道、ファーウェイ、NTTドコモの3社は、第5世代移動通信方式(5G)の実用化に向け、有望な周波数帯の一つである28GHz帯を用いた5G共同実験を2017年12月6日に実施し、東京スカイツリーの展望台から浅草への1kmを超える長距離伝送に成功した。

この共同実験は、NTTドコモが東武鉄道との協力により構築した「5Gトライアルサイト」で行ったもので、東京スカイツリー天望デッキフロア340に設置したファーウェイの実験用無線基地局と、東武鉄道浅草駅ビル屋上に設置した携帯電話端末に相当するファーウェイの移動局装置との間で、受信時最大下り4.52Gbps/上り1.55Gbpsの超高速通信を行った。

5Gトライアルサイトとは、NTTドコモが2020年を目標とする5Gの商用サービス開始に向けて、超高速・大容量通信、低遅延、超多数の端末接続といった5Gの特徴を活用した新たなサービス・コンテンツを幅広い業界のパートナー企業と連携して創出し、有望なサービスについて一般のユーザーにも体験してもらう取り組み。

今回の実験では、5Gのキー技術の一つである多数のアンテナ素子を用いる「Massive MIMO」技術によって、東京スカイツリーから浅草方向に向けてのビームフォーミングを実施した。実験により、電波の減衰が大きく、遠くに飛ばすことが困難だと考えられてきた高周波数帯の電波を、都市部だけではなく地方や郊外、山間部など、より多様な環境で利用することができる技術を実証できたという。