地球温暖化によるとみられる、異常気象に見舞われることの多い世界では近年、この美しい惑星上の二酸化炭素の総量を変えないしくみ「カーボンニュートラル」への取り組みが盛んになっている。
持続可能な社会を築くために、さまざまなエネルギー資源の研究が進められている。中でも動植物由来の資源、バイオマスは注目度が高く、伐採木などを利用すれば森林の保護育成とカーボンニュートラルの両立が可能であり、生産から消費までを網羅するしくみの完成に期待が寄せられる。が、過去には一時期、トウモロコシからの燃料をガソリンの代替にすることが流行った国では人や家畜が飢えるという、本末転倒の問題が起こったりした。
そうした事態を防ぎつつ、カーボンニュートラルをも達成しようと、昭和シェル石油は、食糧と競合しない草本系および木質系バイオマスを原料とした次世代バイオ燃料を製造する触媒の開発を、東北大学と共同で行ってきたという。そしてきょう、同大学大学院の研究グループとともに、セルロース(植物繊維の主成分)もしくはソルビトール(果物に含まれる白色結晶)を原料として、ガソリン基材として利用可能なヘキセンの生成に成功したことを発表した。
セルロース(0.5g)から、東北大学が開発した触媒にてヘキサノールを生成。これを別の触媒にて脱水反応させて生成したヘキセンは、JIS規格との照合によって、夏季/冬季でそれぞれ約22vol%/約7vol%混合可能であることを確認。バイオエタノールのガソリンへの混合率は同規格で3vol%が上限(E10対応ガソリン車は10vol%)となっていて、それよりも多くガソリンに混合できるという。
同社はこの技術を'25年までに確立し、温暖化対策への貢献を目指す。
今回のヘキセンをモデル化合物とした、ジェット燃料の生成は先月、「第47回石油・石油化学討論会」にて発表された。