空撮機材として脚光を浴びたドローンの活用分野が拡大している。いま、農業や養殖業、造船業などでの生産効率向上のほかに、離島やへき地への物資輸送、インフラ構造物の保守・点検作業、災害現場での救命活動など、危険あるいは困難な仕事にドローンが携わりはじめている。
今年度に「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」を立ち上げたNEDOは、多種多様な分野で活用できるドローンおよびロボットの開発を促進するとともに、社会実装するためのシステム構築および飛行試験等を実施している。同プロジェクトにおいて、スカパーJSATは、災害現場や地上通信網が未整備のエリアで、ドローンの目視外飛行を可能とする運航管理システムの構築を目指している――産学官連携体制で、通信衛星を介して目視外ドローンから直接情報収集する各種実験に着手している。
両者と、福島県はきょう、11月27日から12月1日までの5日間、福島市のふくしまスカイパークにて、通信衛星と目視外ドローンをつなぐ中継基地として導入を想定している高高度無人航空機について、東海大学所有のソーラー飛行機SunFalcon2を用いた、2種類の飛行・通信実験を実施したと発表。先月22日に締結した「福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定」の取り組みの一環だという。
実験の結果、当初目的としていた各種データの取得に成功し、通信衛星や高高度無人航空機を用いることで目視外のエリアにおいても通信環境を構築できる可能性を確認できた。NEDOとスカパーJSATは、今回得られた知見を新規開発する高高度無人航空機の設計、無人航空機搭載用無線機器の設計に反映し、システム構築事業を着実に進めていく。小型で安価なドローンの目視外飛行を支える運航管理システムとともに、新たな利用領域の開拓とマーケットの拡大をめざす構えだ。