教師レスのAI荷卸しロボ、重労働解放に向けて発進!

昨今、人手不足が深刻な問題になっている。急拡大中のネット通販などを支える物流業界では、"超"がつくほどの労働力不足により、サービス内容や料金の見直しを迫られ、減益によって経営さえ危うくなっている企業があるほどだ。

なかでも物流業務における荷卸し(デパレタイズ)作業は、腰痛など労働災害につながる重労働のために定着率が悪い。作業者の確保が一層困難になると見込まれる今日、ロボット導入による無人化・省人化が急務となっている。だが従来のデパレタイズロボットは事前の画像データ登録、荷姿・積み付け方法等の情報を必要とし、これらが導入障壁となっていた。情報がすべて揃っていても、パレットに様々なケース(段ボール)が混載されている場合、対応が困難であったという。

IHIおよびIHI物流産業システムは、荷卸し作業を自動化するしくみに人工知能(AI)技術である深層学習(ディープラーニング)を搭載。ケースの認識能力を大幅に向上した世界初の「IHIデパレタイズシステム」(AADS:IHI AI Auto Depalletizing System)を開発し、国内での販売を開始した。

産業ロボ向けディープラーニング3Dビジョンシステム"KIBEMA PICK"の製造元である米国Kinema Systems社と共同開発した、AADSは、AIによる物体認識技術を活用していて、事前の画像データの登録やティーチングが不要なデパレタイズシステムであり、次のような特長を備えている。

「マルチ荷姿・混載パレットへの対応が可能」
「デパレタイズ能力450ケース/hで、従来比30%の能力向上、1台導入で1名の省人化を実現」
「マスター情報の登録を簡素化」

IHIはこの他にも立体高速仕分装置や立体自動倉庫など、ケース用物流機器を揃えていて、これらをAADSと組合せることで物流作業の無人化・省人化をトータルで推進していく構えだ。