次世代マイコン用、大規模メモリ動作を実証

より高性能で消費電力の少ない電子デバイス――。それは自律走行する車だけでなくあらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代に、日本がめざす超スマート社会(Society5.0)の基盤作りでも、いっそう重要になる。

微細プロセスを用いた最先端の高信頼性マイコンが求められているという。ルネサスは1年前、世界に先駆けてフィン構造SG-MONOSフラッシュメモリセルの開発に成功。その後、高性能・低消費電力の先端ロジックと大容量・高信頼性の微細不揮発メモリの組み合わせによるさらなるマイコンの進化を追及してきた。そしてきょう、回路線幅16/14nm世代以降のマイコン向けに上記メモリセルの大規模動作に成功したことを公表した。

シリコン上に酸化膜/窒化膜/酸化膜の3層、そしてそのうえにメタルのゲート電極を2つに分けた「スプリットゲート」構造を有する記憶用トランジスタ(メモリセル)を集積した、SG-MONOSフラッシュメモリは、メモリ保持をシリコン基板面に形成した薄いトラップ膜で行うため、立体のフィン構造への展開が比較的容易であり、同じくフィン構造を有する16/14nmのロジックプロセスとの親和性が高いことが特長。優れた電荷保持特性はフィン構造でも損なわれず、従来品と同等の信頼性を維持することを確認済みだという。

16/14nm世代以降のマイコンにメモリセルを内蔵する際に課題となるのは、主にメモリの大容量化に伴う特性のばらつきであった。が、同社は今回、「フィン構造メモリアレイを試作し、大規模メモリ動作を実証」、「フィン構造メモリアレイ向けに書き込み方式を最適化」、「従来と同等の高温データ保持特性をアレイレベルで維持」に成功。これらの技術を実証したことにより、100Mバイト超のフラッシュメモリを混載する高性能・高信頼マイコンの実現に向けて大きく前進したという。