日本ベネックスと住友商事は、日本ベネックス本社に日産自動車製の電気自動車(EV)10台と新型のリユース蓄電池システムを導入し、関西電力を中心としたコンソーシアムが取り組むバーチャルパワープラント(以下、VPP)構築実証事業「関西VPPプロジェクト」(以下、VPP実証事業)に参画する。
VPPとは、点在する蓄電池や需要設備などのエネルギーリソースをIoT(モノのインターネット)を活用して統合し、その充放電などを制御することで電力の需給を調整する取り組み。電力自由化や電力システム改革の進行に伴い、注目が集まっている。今後VPPが実用化されると、社会全体として電力需給の調整力が拡大するため、天候によって出力が大きく変動する再生可能エネルギーの導入拡大にもつながると期待されている。
リユース蓄電池システムは、日本ベネックスと住友商事が共同で、物流コンテナへの高積載技術を駆使して開発した新型システム。住友商事が夢洲(大阪府大阪市)や甑島(鹿児島県薩摩川内市)で運用しているものと比較して2倍(1ユニットEV24台分)のリユース蓄電池を格納し、経済性をさらに高めたもの。
システムは2018年1月の完工・稼働開始を予定しており、将来はVPP対応の新型リユース蓄電池システムとして富士電機によって商品化する。日本ベネックスの本社工場において、普段は本システムを電力需要ピーク時の補助電源として使用するが、日産自動車の協力で2017年4月に導入された商用型EV「e-NV200」10台分の充電スタンドと併せて、VPP実証事業にも活用する。EVは従業員の通勤用として利用されるだけでなく、駐車場停車時には、遠隔制御で充電時間帯を最適なタイミングに誘導することで蓄電池としても活用する計画。
日本ベネックスは、精密板金加工技術を基盤に大型映像装置をはじめとした産業・電気機器製造事業を手掛けており、2012年に環境エネルギー事業に新規参入して以来、約21MWの太陽光発電システムの設計施工・運営を行ってきた。住友商事は、日産自動車との合弁事業であるフォーアールエナジーと共同で、EVで使い終わった蓄電池を再利用・再製品化し、EVの普及促進に貢献する仕組みを作ってきた。