損害保険の損害認定にAIを活用するナレッジモデルを構築

損害保険業務では、保険金の請求受付から保険金支払いまでの流れの中で、契約情報、事故情報、損害情報、調査情報など多岐にわたる情報に基づき、損害認定・保険金の支払いを行っている。

あいおいニッセイ同和損保、大日本印刷(DNP)、インテリジェント ウィエブ(IWI)の3社は、損害保険の損害認定業務においてAI(人工知能)を活用する共同研究を進めている。まず、初期調査として、損害保険会社が個別に保有する事故情報や損害情報などについて、内容や特性を整理・分析し、アナログデータのデジタル化手法を検討したうえで、AIを実運用する際の有用性を検証する。

共同研究では、業務フロー、損害認定に関わる各種情報(契約情報・事故情報・損害情報・調査情報など)を分析・統合し、AIを活用した損害認定業務を実現するナレッジモデルの構築について研究する。

約3カ月間の初期調査では対象案件を絞り、より良いナレッジモデルの構築に向けて有用な項目を抽出し、項目に応じてデジタル化手法を検討したうえで、実運用に向けた検証を行う。その後、AIを用いた具体的な損害認定業務支援について、システム化を検討する。
あいおいニッセイ同和損保は、移動する媒体にリアルタイムで情報やサービスを提供するテレマティクス技術の高度化やIoT(モノのインターネット)を活用した保険サービスの拡充、AIやITを活用した先進的な保険サービスの提供などを推進している。

DNPは各種保険の帳票作成や、顧客からの申し込み受付業務などを代行するBPO(Business Process Outsourcing)事業などで、高度な情報セキュリティ環境下で情報を取り扱うとともに、保険業務全体の設計や効率化に取り組んできた。IWIは、金融業界向けシステムの開発・構築・保守、セマンティック技術を用いた口語解析や自然言語処理などのAI技術を保有している。セマンティック技術とは、コンピュータに文書や情報が持つ意味を正確に解釈させ、文書の関連付けや情報収集などの処理を自動的に行わせる技術のこと。

今回3社はお互いの強みを生かし、従来は人による判断をベースにしていた損害保険の損害認定に対し、AIによる調査分析を加えることで、損害認定業務の高度化・効率化の効果を検証していく。