大阪大学とパナソニックの産学医工連携で実現

現在、血管内治療に用いられる血管内観察用医療機器として、超音波や光干渉断層法があり、これらの機器は単色での血管断面の観察を得意としているが、臨床現場においてはリアルタイムに前方の状況を見ながら治療したいというニーズがあった。

大阪大学とパナソニックは、直径1.8mmで約48万画素相当の高画質で血管内における前方視を可能にする「イメージセンサー先端搭載型血管内視鏡カテーテル」の実用化に成功しました。2013年から産学医工連携による血管内観察用医療機器の開発に着手している。

今回開発した血管内視鏡カテーテルは、大阪大学の臨床現場から生まれたアイデアと同国際医工情報センターの医療機器開発のノウハウ、パナソニックが保有する精密加工技術を組み合わせによって実用化されたもの。

フルカラーで対角90度と広視野角で血管内の前方視が可能。これにより、血管内治療時に、前方をリアルタイムに観察しながらガイドワイヤーなどの操作を行うことができる。パナソニックによると、完全閉塞病変などの治療難度が高い症例において大きな役割を果たすという。

パナソニックが長年培ってきたカメラの超精密加工技術や超解像技術により、直径1.8mmでありながら48万画素相当という高画質を実現。主に末梢血管における動脈硬化や石灰化の様子、血栓、ステント留置後の状態などがより詳細に観察できるようになった。血管内治療時に必要な病変の情報を提供するのみならず、新薬や新しいステントなどの評価において有用な情報を提供できる可能性があるとみている。

近年増加傾向にある完全閉塞病変といった治療難度が高い症例において、前方方向にある治療ターゲット部位の情報をリアルタイムで提供できる点において、特に有用であると目されている。新薬の効果や新しいステント、人工血管などの評価にも寄与できると考えられ、血管内治療全体の発展に大きく貢献することが期待される。